福祉用具はレンタル?購入?
介護保険では「借りる」が基本。買えるのは肌にふれて再利用しにくいものと、選択制の4品目です。
介護保険では「借りる」が基本
介護保険で福祉用具を使う方法は2つです。車いすや介護ベッドのように借りる(福祉用具貸与)ものと、ポータブルトイレや入浴用のいすのように買う(特定福祉用具販売)ものです。体の状態が変わったら取り替えられるよう、基本はレンタルで、肌に直接ふれて他人が再利用しにくいものだけが購入の対象になっています。
どちらも自己負担は1〜3割で、都道府県などの指定を受けた事業所から借りる・買う必要があります。ふつうの店や通販で買ったものは、原則として保険の対象になりません。
レンタルできる13品目と、軽い認定の方の制限
| 品目 | 要支援1・2、要介護1の方 |
|---|---|
| 手すり(工事をしないもの) | 使える |
| スロープ(工事をしないもの) | 使える |
| 歩行器 | 使える |
| 歩行補助つえ | 使える |
| 車いす/車いす付属品 | 原則として対象外 |
| 特殊寝台(介護ベッド)/特殊寝台付属品 | 原則として対象外 |
| 床ずれ防止用具 | 原則として対象外 |
| 体位変換器 | 原則として対象外 |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 原則として対象外 |
| 移動用リフト(つり具を除く) | 原則として対象外 |
| 自動排泄処理装置 | 原則として対象外(要介護2・3の方も対象外。尿のみを吸引するものは除く) |
例外もあります。認定が軽くても、医師の医学的な所見があり、ケアマネジャーがサービス担当者会議を経て必要と判断し、市区町村が確認した場合は、対象外の品目も借りられます(例外給付)。たとえば「日によって歩けない日がある」「急に悪化する病気がある」といった場合です。ケアマネジャーに相談してください。
買うもの(特定福祉用具販売)は年10万円まで
購入の対象は次の9品目です。毎年4月から翌年3月までの1年間で、購入費10万円までが保険の対象です。その9〜7割(負担割合が1割なら最大9万円)が支給され、要介護度にかかわらず同じ上限です。
- 腰掛便座ポータブルトイレ、便座の高さを補うものなど
- 自動排泄処理装置の交換可能部品レンタルした本体に使う部品
- 排泄予測支援機器膀胱の尿のたまり具合を感知して知らせる機器
- 入浴補助用具入浴用いす、浴槽用手すり、浴室内すのこなど
- 簡易浴槽空気式・折りたたみ式などの浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分本体はレンタル、体にふれるつり具は購入
- スロープ・歩行器・歩行補助つえ(一部)2024年4月から、下で説明する「選択制」の対象になったもの
支払い方は、いったん全額を払ってあとから保険分が戻る償還払いと、はじめから自己負担分だけを払う受領委任払いがあります。どちらが使えるかは区によって違います。大田区は、相談を経ずに通信販売で買ったものは対象外と案内しています。
2024年4月から、4品目は「借りるか買うか」選べる
2024年4月から、次の4品目はレンタルと購入のどちらかを選べるようになりました(選択制)。
| 選べる品目 | 対象外になるもの |
|---|---|
| 固定用スロープ | — |
| 歩行器 | 車輪つきで体を支えながら押す「歩行車」は対象外(レンタルのみ) |
| 単点杖 | 松葉づえは対象外 |
| 多点杖 | — |
選ぶときは、福祉用具専門相談員が医師やリハビリ専門職の意見もふまえて、それぞれの利点と注意点を説明することになっています。レンタルを選んだ場合は、利用開始から6か月以内に少なくとも1回、使い続けてよいかの確認(モニタリング)があります。
レンタル料には上限がある
同じ車いすでも事業所によってレンタル料が違いますが、極端に高い価格は保険の対象になりません。国は商品ごとに全国平均貸与価格を公表し、「全国平均+1標準偏差」を上限にしています。上限を超えるレンタル料には保険が使えません。対象は月平均100件以上貸し出されている商品で、新商品は3か月ごとに追加、既存の商品は3年に1度見直されます。
事業所は、貸し出す商品の価格とあわせてその商品の全国平均貸与価格を説明し、機能や価格帯の異なる複数の商品を示すことが義務になっています。見積もりのときに「全国平均と比べてどうですか」「ほかの候補はありますか」と聞いてかまいません。
工事が必要なら「住宅改修」で20万円まで
手すりを壁に取り付ける、段差をなくすといった工事は、福祉用具ではなく住宅改修の扱いです。上限は要介護度にかかわらず20万円(自己負担1〜3割)で、工事の前に申請が必要です。要介護度が3段階以上上がったときや転居したときは、もう一度20万円まで使えます。
よくある質問
要介護1でも介護ベッドを借りられますか?
原則は対象外ですが、医師の所見があり、ケアマネジャーがサービス担当者会議を経て必要と判断し、区市町村が確認すれば借りられます(例外給付)。まずケアマネジャーに相談してください。
ネット通販で買ったポータブルトイレは介護保険の対象になりますか?
原則なりません。都道府県などの指定を受けた事業所から購入する必要があります。買う前にケアマネジャーか区の窓口に確認してください。
福祉用具のレンタルは1か月の上限(区分支給限度基準額)に含まれますか?
含まれます。訪問介護やデイサービスと同じ枠を使います。一方、特定福祉用具販売(年10万円)と住宅改修(20万円)は別枠です。
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」福祉用具貸与・特定福祉用具販売
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」/「福祉用具貸与及び特定福祉用具販売に係る選択制の導入」(令和6年度介護報酬改定)
- 厚生労働省「福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限の公表」/奈良県・習志野市 案内
- 静岡市「福祉用具貸与の運営基準(全国平均貸与価格の説明・複数商品の提示)」/茨城県「機能や価格帯の異なる複数商品の提示等に当たっての説明様式」
- 横浜市・西東京市「軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付」
- 江東区・大田区「特定福祉用具購入費の支給」「福祉用具の貸与・販売の選択制」
- 八王子市「住宅改修費の支給」/長寿科学振興財団「健康長寿ネット」住宅改修費
最終確認日:2026-09-30/制度の内容は発行元の異なる複数の資料で一致を確認したものだけを掲載しています。支払い方法や手続きは区市町村によって違いますので、お住まいの介護保険担当窓口でご確認ください。