高齢者が賃貸を断られる理由と対策
断られるのは年齢ではなく、年齢にひもづく3つの不安。先回りして答えを用意すれば審査は変わります。
なぜ高齢者は賃貸を断られるのか
まず現状の数字を押さえておきましょう。高齢者向け賃貸を手がけるR65不動産の調査では、次のような実態が報告されています。
3人に1人高齢者が年齢を理由に入居を断られた経験がある
約4割高齢者を「受け入れていない」と答えた賃貸オーナー
約7割サポート次第で高齢者の受け入れを検討すると回答したオーナー
注目すべきは3つ目の数字です。オーナーの約7割は「サポートがあれば受け入れを検討する」と答えています。つまり拒まれているのは年齢そのものではなく、年齢にひもづく不安だということです。貸主が抱えている不安は、大きく次の3つに整理できます。
| 貸主の不安 | 中身 | 答え方 |
|---|---|---|
| 家賃を払い続けられるか | 年金収入のみで、収入証明が出しにくい | 家賃債務保証会社への加入、預貯金の提示 |
| 室内で事故が起きないか | 転倒・急病・孤独死への懸念 | 見守りサービスの導入、近居する家族の連絡先 |
| 退去時の対応ができるか | 残置物の処理、原状回復の手続き | 緊急連絡先の複数確保、残置物処理に関する契約の活用 |
※民間の賃貸借契約では貸主に契約の自由があり、年齢を理由とする入居拒否が直ちに違法とされるわけではありません。一方で国は住宅セーフティネット制度により、高齢者等の入居を拒まない賃貸住宅の登録を進めています。
断られにくくする5つの準備
申し込む前に次の5つをそろえておくと、審査の通過率が変わります。貸主の3つの不安に、先回りして答える準備です。
- 1. 緊急連絡先を2名分用意するできれば別世帯の親族2名。貸主が最も安心する材料です。親族がいない場合は、次の「見守りサービス」で代替を検討します。
- 2. 見守りサービスの導入を提案する安否確認の仕組みがあることを申し込み時に伝えると、印象が大きく変わります。センサー型、電話型、配食の手渡し型などがあります。
- 3. 家賃債務保証会社の利用を前提にする保証人がいなくても契約できる形をあらかじめ示しておきます。高齢者の受け入れ実績がある保証会社もあります。
- 4. 支払い能力を書面で示す年金額の通知書、預貯金残高など、家賃を払い続けられる根拠を用意します。「年金だけ」という言葉より、数字のほうが説得力があります。
- 5. 家財を減らしてから探す荷物が多いと内見時の印象が悪く、退去時の不安材料にもなります。生前整理・不用品処分を先に進めておくと交渉がスムーズです。
順番のおすすめ。①区市町村の居住支援窓口に相談 → ②並行して高齢者専門サービスで相場を確認 → ③上の5点をそろえて申し込み。いきなり街の不動産店を回るより、断られる回数を減らせます。